土俵下
人気の小兵力士炎鵬が土俵下に落下した。
まっすぐ寄り倒され、激しく腰と背中と頭を打った。
テレビ画面からも、場内が一瞬息を呑むほどの衝撃だったとわかる。
土俵の高さは、約60cmだというが、土俵の上で寄り倒されたとしても、巨漢の力士ともつれ合って倒されれば、相当な衝撃があるはずである。
ましてや、受け身の取れない形で、今日のような倒れ方をすれば、ただで済むはずがない。
明日からの炎鵬の相撲に影響が出ることは必至だろう。
力士は、命をかけてお客のために相撲を取っている。
そして、そのために、常識では考えられない強靭な体力とおおよそ身体に似つかわしくない柔軟性もすべての力士が持ち合わせている。
だからこそ、数百年の伝統が守られているのも頷ける。
ただ、本場所で力士の身体を守る工夫をもう少しできないものであろうか。
横綱と大関のほとんどが休場している今、人気力士は角界の宝である。
今場所は、すでに休場している大関正代の相撲をファンは楽しみにしていたに違いない。その正代も土俵下に足をついたときに怪我をしたように見えた。
昭和ならば「鍛え方が足りない」で済まされたかもしれないが、昭和とは相撲の内容も力士の体格も全く違う。
ましてや、今は、コロナ禍で稽古をしたくても満足にはできない中で力士たちは闘っている。
伝統の武道も、変えていかねばならないところは変えていくべきであるとさすがに今日は強く感じた。