一分の救い(ノンフィクション風の物語)【完結】⑮
横たわる母を一瞥した瞬間にどこからかあきらめの声が聞こえてきた。 これまでのストレスと身体のこわばりが抜けていき軽い目眩を覚える。 父は相変わらず声をかけ続けていたが、私の方を向いて「どうだろうか」と無言で訴えてくる。 …
横たわる母を一瞥した瞬間にどこからかあきらめの声が聞こえてきた。 これまでのストレスと身体のこわばりが抜けていき軽い目眩を覚える。 父は相変わらず声をかけ続けていたが、私の方を向いて「どうだろうか」と無言で訴えてくる。 …
身内が臨終する際には不思議な体験をするという。 実際に自分が直接聞いた話もいくつかある。 そして、私もその体験をすることとなった。 その日、私は出身高校の文化祭を訪れていた。 柔道のOB戦に出場するためである。 公式戦で …
病状が快方へ向かうと、その患者のまわりの空気は一変する。 家族のみならず、医師や看護師も余裕を持って接するようになる。 また、少しでも平常の生活に戻すために前向きの行動が増えてくる。 このことは、何よりも母や家族を元気づ …